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リンケージ藤波

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渡辺歯科医院
院長
渡辺 治

1948 倉敷市玉島(旧玉島市)生
1973 東京歯科大学卒業、病理学第二講座
1978 歯学博士(東京歯科大学)
1978 東北歯科大学助教授
  (昭和大学歯学部兼任講師 1981まで)
1981 イタリア共和国研究評議会招聘留学生
  (borsista di C.N.R)として
   ミラノ大学医学部留学
  (細胞生物学)1984まで
1988 東北歯科大学辞職 渡辺歯科医院勤務
1991 東京都老人総合研究所プロジェクト研究員(臨床病理 1994まで)

資格
 歯科医師免許 歯科医籍 第68362号) 
 死体解剖資格認定医
 (病理解剖 第5310号)
学会活動
 アメリカ歯周病学会(AAP)会員
 ヨーロッパ歯周病学会(EFP)会員
 日本スポーツ歯科医学会会員
 ドライマウス研究会会員、認定医
 日本病理学会会員、評議員(1993まで)
 日本歯科基礎医学会会員、評議員(1993まで)
著書
 治癒の病理 医歯薬出版 1988
 歯根膜靭帯の科学 グノーシス出版 1992
 治癒の病理 臨床編 医歯薬出版 1997
 その他論文多数
その他
 岡山県スポーツマウスガード協力医ネットワーク主催
 岡山県ラグビーフットボール協会安全対策委員会副委員長
 日本ラグビー協会新スタートコーチ認定




“ eppure si muove “ それでも地球は動いてる

  これは有名なイタリア人科学者 Galileo Galilei があの宗教裁判で残した言葉です。
 科学は「仮定 実験 証明 結論」というプロセスの思考であり、宗教は「神 善悪 戒律
 結論」というプロセスの思考であると言われています。それでは医学、歯学も含めて自然科学ははたして科学的思考プロセスからのみ産まれたのでしょうか?そうだとすれば「今日があれば必ず明日」がなければなりません。しかし必ずそうとも限りません。ただ「今日は昨日があった」からあることは間違いありません。
 私が病理の講義をしていた30年前は、中枢神経、心筋は絶対に再生しないとどの病理総論の教科書にも書いてありました。そしてそのように教えてきました。が一抹の疑問を持っていました。そして教室をあげて「成熟個体における組織誘導」の仕事を行い、未分化間葉系細胞(今で言う組織幹細胞)の存在を証明しました。歯周組織再生療法の基礎になりました。
 今は中枢神経も心筋も再生することが証明されています。倫理的に様々な問題を含む胎生幹細胞を使わなくても良い時代がそこまで来ています。昨年は京都大学が線維芽細胞にわずか4つの遺伝子を導入することにより、万能性を持つ細胞 ( induced pluripotent cell )を作ることに成功しました。科学の発達にはただただ頭を下げるだけです(この文章を校正中にビッグニュースが飛び込んできました。この万能細胞を作った京都大学再生医科学研究所の山中教授らが、ヒト皮膚の細胞に同じ遺伝子を導入し、胚性幹細胞(ES細胞)と同じ能力を持つ万能細胞を作ることに成功し、20日付けの「Cell」電子版に発表しました。再生医療は新しいステージに入ったと言えます。まさにノーベル賞級の研究成果でしょう)。
 しかし我々臨床家の最も真摯な行き方は愚鈍かもしれないが、今の経験に基く科学に沿って、常に過去を振り返り地道に進めて行くことなのかも知れません。「 lo specchio, sopratutto lo specchio e il tuo maestro 」(鏡が、何よりも鏡がお前の先生だ)Leonardo Da Vinci
 この鏡 lo specchio を患者 lo paziente に置き換えてみたらどうだろう。


極めることへの努力

  来春は還暦を迎えようとする私にとってここ数年「感動」と言う言葉は無縁の状態であった。これが老化の道程なのかとぼんやり考えていた。若い時の心躍るような感動の瞬間はもう訪れないのかと何となく寂しい気持ちになっていた。
 その日私は昨年同志と立ち上げた岡山県スポーツマウスガード協力医ネットワークで行った県下高校生ラグビー選手へのマウスガード装着に関するアンケート結果を発表するため、那覇市で行われた日本スポーツ歯科医学会の会場へ出向いた。午後からの我々の発表の前に行われた特別講演に「世界一への挑戦!」とあり、何気なくちょっと聴いてみようかと会場に入った。そこには身長160cm足らずの小柄な女性が、JAPANの文字を縫い込んだ真っ白な胴衣を着て立っていた。いかにも沖縄県人らしく日焼けしたその顔は「凛」としてトップアスリートだけが持つ雰囲気を醸し出し、私はそれだけで圧倒されてしまった。そう、彼女は全日本空手道連盟ナショナルチーム、元日本代表豊見城 あずさ選手でした。
 話が始まり彼女の高校からの空手生活のなかで、恩師佐久本先生(世界7連覇を成し遂げた空手チャンピオン)との師弟愛、目標は全国制覇という厳しい部活の中、2年で全国優勝、インターハイ優勝と輝かしい実績のあと、空手と縁を切った大学生活、そこでの何か満たされない生活に恩師からの「もう一度空手をやらないか」との誘いを二つ返事で受けたことなど、聴衆はシーンと静まり返り咳払い一つ聞こえない。
 そして、稽古は365日、一日でも休んだら破門という厳しい条件の中、10年間努力を続け、2002年スペイン大会で準優勝、しかしこの時は嬉しくもなく笑顔さえなかった彼女に外国のメディアは「 Smile azusa, smile」と声をかけたが悔しさで涙も出なく、「泣く時はチャンピオンになってうれし涙で泣きたいと思った」と回想している。
 それから2年血のにじむような努力の結果迎えた2004年メキシコ大会で、彼女は2年前に破れた宿敵フランスに勝ち、ついに世界チャンピオンとなった。そして心からの笑顔でうれし涙にくれたと話した。このときどこからともなく期せずして拍手が起こり、会場は感動に包まれた。私も鳥肌が立つような感動の中にいて、いつまでも拍手を送っていた。話終わった彼女は前にも増して「凛」としており、美しく輝いていた。



来月は鈴木歯科医院
鈴木 司郎先生にリンケージします。





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